豆知識

うちの子は大丈夫?マイクロチップの義務化について

マイクロチップ について

令和4年の6月にマイクロチップの義務化が実施されました。
当院でもマイクロチップを装着するために来院する犬、猫も多く目にするようになりましたが
まだまだ世の中の理解、浸透には充分ではないのかなと思う所もあります。
また飼い主さんからも質問を受けることもあります。

  • マイクロチップは今飼っている犬(猫)に必要なのか?
  • そもそもマイクロチップがなぜ必要になったのか?
  • 打つことによる悪影響はないのか?

今回はこういった内容を一つずつ説明していきます。

▲マイクロチップの装着が義務化されているのは?

マイクロチップの装着を義務化されているのは主に犬や猫を取り扱う業者になります。これはブリーダーやペットショップのことを指します。飼い主に関しては既に装着されている個体に対して住所登録を30日以内に行う事が義務づけられています。従って今飼っている犬猫には装着義務はありません。しかし環境省からは「努力義務」として呼びかけています。
また以前からマイクロチップを装着している場合は登録団体として環境省に再登録が必要になる場合があるので一度連絡を確認をしてもらうのがおすすめです。

▲なぜマイクロチップが義務化された??

大枠の目的としては保護犬の殺処分を減らすという事です。
もう少し細かくいうと震災などではぐれてしまう、不法な飼育放棄の際に迅速に飼い主情報を割り出し返還できるようにするためのものです。
東日本大地震の時はペットとはぐれてしまい中々飼い主が見つかず、保護シェルターのキャパオーバー、そこから広がる人手不足による衛生管理の不十分、犬猫だけではなく働く職員の負担の増大が問題視されました。飼われている犬には首輪に住所や連絡先を書いてある事も多いのですが、震災の時に保護された犬の多くは首輪がされていない状況という事もあり、避難する途中で取れてしまったのだと考えられています。そういった意味ではマイクロチップは非常に有効です。
また犬猫の不法投棄の抑止力にもなります。動物愛護法で飼育している動物の不法投棄は刑事罰に問われることがあるためマイクロチップにはその効果が絶大です。

▲マイクロチップによる弊害は?

今の所は大きな弊害は報告されていません。
唯一の問題点としてMRIの撮影時にアーティファクトが存在すると言う事です。しかし、この問題点も装着している部分だけの話であり、離れた部位では影響は出ません。もし装着部位の画像が必要な場合は撮影する前にマイクロチップを除去してからであれば問題なく撮影できます。

今年施行されたばかりのマイクロチップの義務化。
まだまだ認知されていないのが現状だと思いますが、これから徐々に増えていくことは間違いないです。マイクロチップによって災害で離れ離れになってしまった子や、迷子犬、盗難の被害者、ペットの遺棄がなくなれば不幸な犬猫が減るのも明白です。
飼い主様の心理的ハードルが高い要因として生体内に異物を入れる行為が挙げられます。現在では旧式に比べて小型タイプもあるので自分のペットに打つかどうか悩んでいる方は一度当院までお気軽に相談して下さい。